2011年12月8日木曜日

ネパール姉妹校訪問記・2011 part2

千葉明徳中学校 技術家庭講師 築地 史郎

(千葉明徳会 明徳土気保育園美術スタッフ)

何故 又 今年も自分はいくのだろう。出発が近くになるにつれて何回か自分に問いかけるものの、すぐに答えは出ないまま今年も行って参りました。

姉妹校への訪問は3回目、外国で授業ができる経験はなかなか得られるものではありません。夢のようだった1回目の体験は、理事長についていく事であっさり実現、2回目は、天候の不順で違うハイスクールに行って来ましたが、姉妹校とは違う雰囲気の中での授業は、それはそれで楽しいものでありました。

3回目の今年は、何とか姉妹校にたどり着き、何回も行っていると、初回では見えなかった現実がみえてきて、授業への自分の関わりも真剣なものになります。顔を覚えた先生や生徒達と嬉しく再会できて、国境を超えるのは人と人とのつながりである事を実感できました。

(人との再会の為に私は又きたのだろうか)

『現地の先生は、授業が終わると鉛筆の数を何回も数えた。』

もともと紙や鉛筆が貴重品な地域で絵の授業というのもどうかと思うのですが、私はネパール人の描く顔に興味があり、イラストの様に、眉毛と鼻を一気に描く所にしびれているのです。 授業では、まず私が人物を描いてみせ、次に生徒に描いてもらって、その作品の中に、このパターンを発見するのが私の楽しみの一つでもあります。ところが、今回は狭い教室に100人近い生徒が集まってしまったので、生徒の描いた絵を見て回るだけでも大変でした。先生の説明によると、生徒の中には貧しくて鉛筆など持ってない人もいます、との事。私が用意した60本の鉛筆と生徒の持っているボールペンなどで何とか人物は描き上がりましたのでまとめに入りました。咄嗟の判断で、10人程の絵を選んで作者を前に出し、プライズとして鉛筆をあげる事でしめくくり。絵の授業というよりはコンペティションでしたが、これがネパールスタイルだよなと独り言。助手をしてくれた先生がまとめの話をしてくれというので、『絵が描けると言葉が解らなくても意思や要求が伝えられるし、コミュニケーションに役立つから大切です。』と、これまた咄嗟の判断で話す自分がおりました。

nepalese

ともあれ授業が終わったところで、先生は真面目な顔で鉛筆を回収しはじめました。そして何回も数を確認、何故そんな事を一生懸命にと思った瞬間に私ははっとしました。ここはネパールでも貧しい西の方の地域で、先生は生徒達が鉛筆をちゃんと返せるかどうかにこだわっていたのでした。数が合った時の先生の誇りに満ちた表情は私には驚きでありました。日本にいると、貧しさと向き合う事は殆ど無いので、授業の前に充分意識しておくべきだったと後から思った事でした。

実は、高橋孝夫先生(高等学校・美術科教諭)のリポート(学園ニュース146号掲載)にあった様に、この後からが大変でした。授業のお礼に生徒の歌を聞かせてくれるというので、喜んでいた私でしたが、歌や踊りが次から次へと続いて大芸能大会の様になってきて、音を聞きつけた生徒が更に集まってきたのです。一つしか無い入り口は生徒で塞がれ、窓のそばによると、今度は窓の外から見ている小学生にどいてくれといわれる始末でした。

(来る度に新しい驚きの体験がある)

『 TVやゲームはなくても祭りがある 』

授業での盛り上がりは、夜の交流会につながっていきます。もともとネパールには沢山の祭りがあり、歌ったり踊ったりの自己表現は子供の頃から鍛えられます。日本のアニメやゲーム文化もすごいと思うけれど、ここで感じる祭りの原点や、人々の楽しみ方も素朴で力強くていいなあと思います。

『明徳の学生さんの履き古したシューズを売る。』

昨年、ミッチーこと永島先生(高等学校・英語科教諭)が、日本から持ってきた色々な物を売り、盛り上がって楽しかったのですが、今年は去年出来なかったシューズ売りの係が回ってきまして、私は履き古したシューズを200ルピーで売りました。日本製は質が良いとの事で、程度のいいものからどんどんなくなっていきました。噂は広がって、次の日にも靴はないかと聞かれて閉口しましたが、Tシャツでも何でも売る方も買う方も楽しい時間が持てます。売り上げは姉妹校に寄付してまいりました。

余談ですが カトマンズは面白い所です。

私たちはカトマンズにつくと街の散策にでるのですがこれが又面白い、理事長の福中先生が先頭になって案内してくれるのですが、始めての人はカルチャーショックにおちいります。映画のスクリーンの仲に飛び込む感じです。ジューススタンドではザクロの生ジュース、(福中先生は普通に飲むけど、私は恐る恐る飲む。)本当に美味しい。マーケットで買える岩塩は、これも病みつくテイストです。街は、私には迷路ですが、さすがに何回も行くとそれなりに解って来ます。又カトマンズのめぼしいレストランはほぼ連れて行ってもらっている様に思います。行く前に、食事は!と心配する方もいると思いますが、実はお洒落で美味なレストランが多いのがカトマンズ。

行く前は、なんで今年も行くのだろうと考えていた私も、来年はこうしようとか思うのですから、これはもう自分の中ではイベントの一つなのかも。同行する人達も、毎年ユニークな人ばかりで、理事長を隊長とする姉妹校訪問隊は、けっこう楽しくて愉快な仲間となって10日間を過ごすのです。

一緒に行ってみたい方は、どこかにいませんか?

kathmandu

ネパール語・ミニ講座 ククラ(にわとり)・ククル(いぬ)・ククリ(ナイフ)

kuku

これまでの記事